: 同一次元状態オブザーバ
: sysconh16
: 状態フィードバックによる多入力システムの極配置
入力出力で,次元状態変数をもつ線形システム
において,が
を満たすとする.明らかにの場合には,が正則となるので,状態は
により直接知ることができる.しかし一般にはであり,この場合はが存在せず,ある時刻における状態を知りたいと思えば,その時刻までの観測可能な出力,および制御装置で定める入力の値からの値を推定する必要がある.
そこで,システム(8.1),(8.2)に対して,とを入力とする新たなシステム
を考える.及びは,この新たなシステムの次元状態ベクトル及び次元出力ベクトルである.
この出力が
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(23.3) |
を満足するとき,(23.3),(23.3)は,システム(23.1),(23.2)に対する次元状態オブザーバであるという.このとき次の定理が導ける.
定理 次元システム(23.3),(23.3)は,その係数行列が次の条件を満たすとき,システム(23.1),(23.2)に対する状態オブザーバである.
- 適当な行列を選んだとき,次の3つの式を満足する.
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(23.4) |
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(23.5) |
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(23.6) |
- は安定行列(固有値の実部がすべて負である行列)である.
証明 (8.1),(8.2),(8.3)より
を得る.上式右辺に(8.6),(8.7)を用いると
となる.したがって
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(23.7) |
を得る.他方,(8.2),(8.4),(8.8)より
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(23.8) |
となる.(8.9),(8.10)とが安定行列であることから
が成り立ち,(8.5)式を満たす.
以上の証明から判るように,オブザーバの状態変数は,もとのシステムの状態変数の線形関数の推定値と考えることができる.そうなるための条件が(8.6)及び(8.7)である.また,その推定誤差が,に収束する条件が条件2.である.さらにとから構成されるが,の推定値となるための条件が(8.8)式である.
: 同一次元状態オブザーバ
: sysconh16
: 状態フィードバックによる多入力システムの極配置
endo
平成16年6月30日