: 最小次元状態オブザーバ
: sysconh16
: 状態オブザーバの定義
本節では,状態
と同一の次元数をもつ状態オブザーバの一つを与える.
すなわち,
の場合を考える.
まずシステム(8.1),(8.2)のモデルを
とおき,推定誤差
を考えると,
となる.したがって,
が安定行列ならば
であるから,システム(8.11),(8.12)は,一つの状態オブザーバとなっている.しかしその推定値
の真値
への収束速度は
に依存する.この収束速度を高め,また,安定でない
に対しても適用できるように,制御対象の出力
とそれに対応するモデルからの推定出力
との偏差にフィードバックゲイン
を乗じてモデルに加えて
 |
(24.3) |
とする.これは(8.3),(8.4)式において
と取ることに対応する.
したがって,
が安定行列となるように
を選ぶことができれば,
とすることにより定理7.1の条件を満たし,システム(8.13)が
(8.1),(8.2)に対する同一次元状態オブザーバとなる.
さらにオブザーバの極,すなわち行列
の固有値を任意に配置できれば,
推定誤差
を任意の速さで0に収束させることができる.
これに関して次の定理が成り立つ.
定理7.2 システム(8.1),(8.2)に対して,任意に設定した極をもつ同一次元状態オブザーバ(8.13)が存在するための必要十分条件は,対
が可観測なことである.
証明 対
が可観測であることは,対
が可制御であることに等しく,したがって,定理6.2より
の固有値を任意に設定できることに等しい.
このことは
の固有値を任意に設定できることに等しく,これより(8.13)で
としたものが設定された極をもつ同一次元状態オブザーバとなる.
1出力システムについてはアッカーマンのアルゴリズムを適用できる.すなわち,設定したい極を
とし,
 |
(24.4) |
とするとき,(21.7)式より,次式が得られる.
例7.1 システム
に対して,
を極とする同一次元状態オブザーバを求める.
まずこのシステムは可観測であるから,このようなオブザーバは存在する.
そこで,(24.5)より,
は
と求められる.
よって同一次元状態オブザーバは,(8.13)より
で与えられる.
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endo
平成16年6月30日