線形関数オブザーバの必要性は,通常状態変数が直接観測できないとき,オブザーバによる推定値
を用いて線形フィードバック則
を
で代用することが行なわれる.このような目的でオブザーバを用いる場合には必ずしも
そのものを推定する必要はなく,フィードバック則
の推定値を求めればよいことがわかる.また,その場合
の値は前節で述べた最小次元状態オブザーバよりもさらに低い次数のオブザーバで推定できることが多い.
このようなことから以下ではを
行列
とする.(8.3),(8.4)すなわち
定理7.3 次元システム(26.1),(26.2)は,その係数行列
が次の条件を満たすとき,システム(8.1),(8.2)に対
して
を推定する線形関数オブザーバである.
証明 定理7.1の条件と異なるのは(26.5)のみであるから,定理7.1の証明中の式(8.9)まではそのまま成立する.さらに式(8.2),(26.2),(26.5)より
例7.3 例7.1のシステム
まず及び
より線形オブザーバ
次にオブザーバの極がであるためには
でなければならない.
さらにを
とおくと,(26.3),(26.4),(26.5)より
演習問題1 システム
(解) まず及び
より線形関数オブザーバの係数行列はすべてスカラーである.
さらにオブザーバの極がであることから
となる.
次に
とおくと
演習問題2 システム