マカロック・ピッツモデルでは考慮しなかった実際のニューロンの有する機能・性質として、不応性が挙げられる。不応性とは 2.1節に記したように、ニューロンが発火した後、閾値が一時的に高くなり発火し難くなる性質のことである。高くなった閾値は時間の経過に伴い指数関数的に減衰する。
また、 2.1節の中でニューロンは全か無の法則に従う、つまり、ニューロンは図 2.2のように離散的な応答を示すとしたが、厳密には全か無の法則には従わず、応答の大きさは連続的である。
式(3.2)が、如上2点を機能・性質として新たに取り入れた、カオスの観察され得るニューロンモデルである。以降これをカオスニューロンと呼ぶ。
x(t)は時刻tでの出力、y(t)は時刻tでの内部状態、S(t)は時刻tでの入力、 は不応性の項に対する係数、kは不応性の時間減衰定数、
は閾値、f(y)は出力関数をそれぞれ表す。f(y)はシグモイド関数(式(3.3)、図 3.5)を用いる。
はシグモイド関数の傾きの緩急を表す定数であり、小さいほどその傾きは急峻となる。
入力S(t)を時刻tによらず一定であるとし、
を0から0.25まで変化させてy(10000)からy(12000)までの値を計算し、プロットしたグラフが図 3.6である。(
、k = 0.5、a = 0.3とした。)
カオスニューロンが図 3.1のロジスティック写像と似た応答を示すことがわかる。