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ある時間で入力に変化を持たせる

今までの想起実験では,入力に0やずれなどの変化を持たせるのは第一音目で, 時間ステップt=0のときであったが,今度は想起の途中で入力に変化を与えてみる。 入力の変化としては,0,1,本来の入力に誤差を加えたものを用いた。 また内部状態にも同様に変化を持たせて実験を行った。 そして入力に変化を与えてからの想起時間を測定した。 その結果のグラフを図 6.8 〜図 6.14 に示す。 図の横軸は変化を与える時間ステップtで,縦軸はそのときの想起時間である。

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図 6.8: 入力に0を与える時間に対しての想起時間

   figure348
図 6.9: 入力に1を与える時間に対しての想起時

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図 6.10: 内部状態に0を与える時間に対しての想起時間グラフ

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図 6.11: 内部状態に1を与える時間に対しての想起時間グラフ

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図 6.12: 内部状態に1%の誤差を加える時間に対しての想起時間グラフ

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図 6.13: 内部状態に5%の誤差を加える時間に対しての想起時間グラフ

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図 6.14: 内部状態に15%の誤差を加える時間に対しての想起時間グラフ

この結果よりわかることとして全体的に見て想起時間に38という値の結果が多い ことがわかる。 この38という数字は学習させた時系列の長さと同じであり,想起の一周期分である。 つまり安定状態とまったく違った状態にあっても,想起の入出力を一周期分 繰り返したとき,安定状態に戻ることが多いということである。 またそれぞれのネットワークに注目してみると,想起時間のとりやすい値がそれぞれ あるような結果となっていることがよみとれる。

誤差を加えたときの想起時間の結果のグラフ, 図 6.12 〜図 6.14より, 誤差が小さいうちは,想起時間が短い場合が多く,誤差を大きくしていくにつれて 想起時間が長い場合が増えていっているということがわかる。 やはり内部状態の変化が大きいと想起に与える影響が大きくなるということがいえる。 状態に変化を与える時間によっては,1%という小さな誤差のうちから,想起時間が 大きな値になっている箇所がある。 なのでこの時間においては想起時に内部記憶の値に 大きく頼っているのではないかと考えられる。



Toshinori DEGUCHI
2004年 3月19日 金曜日 16時33分51秒 JST