学科紹介

環境都市工学とは

日本は災害大国です.2011(平成23)年に発生した東北地方太平洋沖地震は,甚大な被害をもたらしました.その後も,自然災害は毎年のように発生しており,その都度,日本がまだまだ自然災害に対して脆弱であることを思い知らされます.

社会基盤が整備されている日本においてひとたび災害が起きると,普段の「当たり前」な生活は当たり前ではないということに気づかされます.

人々の「当たり前」な生活を当たり前にし続ける.「当たり前」な生活が当たり前ではなくなったとき,一刻も早く「当たり前」な生活を取り戻す.それが環境都市工学です.

環境都市工学科では,自然災害から国土と人々を守る「防災・減災」快適で安全な生活や産業を支える「社会基盤整備」に関わる技術を創造・提案できる能力を身につけます.さらに,自然と共生・調和し,環境負荷の低減を考慮した「循環型の都市づくり」についても取り組みます.

この分野の仕事は,大きく分けると,防災や社会基盤整備に関する計画立案をする職種(国家・地方公務員)と,防災や社会基盤に関する施設を調査・設計・施工・維持管理する職種(建設会社,コンサルタント会社)です.

いずれも,自分の技術が住民の安全・快適な生活に貢献していることを実感できる仕事です.環境都市工学は,公共心が強く,住民の役に立つことに喜びを感じられる人にとって,工学の中で最も適した分野です.

学科長挨拶

学科長
水野 和憲

環境都市工学」って,一体,何だろう?と思われた方がいらっしゃるかもしれません.

私たちが暮らす街には,快適に過ごすためにいろいろな構造物や施設が造られています.

みなさんが目的地まで移動する時には,道路,鉄道,橋,トンネルをよく利用すると思います.海外に旅行する時は空港や港湾も使いますね.これらは人だけでなく物資も運ぶための施設でもあります.

また,綺麗な水を作るあるいは運ぶための施設,我々が使った水を綺麗な水に戻す施設,電気やガスを作る施設,インターネットなど情報を届ける施設など,普段はあまり気にしないけれど,無いと困る施設が結構たくさん存在します.私たちの生活を陰から支えてくれている施設なのです.

それから,私たちが暮らす街には,私たちを安全に守ってくれる構造物や施設もあります.ダム,堤防,防波堤,擁壁といった構造物も自然災害から私たちの暮らしを守ってくれているものです.地震につよい街や構造物は,我々に安心も届けてくれています.

これらの構造物や施設のことをまとめて「社会基盤(英語でインフラストラクチュア)」と言います.社会基盤を造る(造ることを“整備”と言います)ことは,すなわち「まちづくり」なのです.

最近では,地球環境,自然環境にも目を向けて社会基盤を整備することが求められます.また限りある地球の資源を有効に活用するために,循環型のまちづくりに関する技術や知識を学ぶことも,今はとても重要なのです.

このような「社会基盤の整備」と「循環型のまちづくり」に関する学問が「環境都市工学」であり,岐阜高専の環境都市工学科は,専門的な知識や技術を基礎からしっかりと身に付けることができます.実際に構造物を造る現場を見学する行事や,直接,材料を触って調べる実験,まちや自然を測り地図を作る実習など,充実したカリキュラムをアクティブに学べることが我々の学科の特徴です.

多くの人々の役に立ちたい,地球も,日本も,岐阜も,そして生まれ育った地元も魅力のある安全で安心な“まち”にしたいと思っている中学生の皆さん,我々と一緒に学んでいきましょう.皆さんの夢をミライの「地図」に残してみませんか?

学科について知るには?

オープンキャンパス

毎年8月に,中学生を対象としたオープンキャンパスを実施しています.

環境都市工学科では,5年生が主体となって準備を進め,当日は学科について実体験を交えながら説明します.

学科の魅力を伝えようとする在学生たちの懸命な姿から,環境都市工学科の雰囲気を感じられること間違いなし!

Sainte Chapelle
水質試験の説明
Sainte Chapelle
液状化の説明
Sainte Chapelle
耐震の説明

高専祭

高専祭の企画の一つとして,毎年「環境都市の部屋」を実施しています.学科紹介のパネル展示やイベントを開催しています.教員や在学生が質問に答えるコーナーもあります.

高専祭にはどなたでもご参加いただけますので,高専祭の際には「環境都市の部屋」にもお立ち寄りください!

Sainte Chapelle
パネル展示
Sainte Chapelle
イベント
Sainte Chapelle
在学生による説明

入試説明会

中学生とその保護者様向けの入試説明会の際に,学科見学会を開催しています.各種実験装置や測量器械などをじっくり見学できます.

入試説明会にご参加いただいた際には,環境都市工学科を見学してください!

公開講座

「環境都市工学入門」と題して,小・中学生向けに公開講座を開催しています.環境都市工学について触れる機会です.

毎年工夫を凝らし,内容を変えていますので,是非,ご参加ください!

Sainte Chapelle
座学
Sainte Chapelle
フィールドワーク
Sainte Chapelle
フィールドワーク

FAQ

どのような人が環境都市工学科に向いていますか?

環境都市工学の分野としては,元気な人や,協調性のある人が向いています.
本学科としては,自発的・計画的に学業に取り組む姿勢が大事になります.なんとかなると思っていても,どうにもならないことが多いので.

建築との違いは何ですか?

余白を活かすのが建築.余白を埋めたくなるのが環境都市工学.
構造工学や都市計画など,重複している部分もありますが,建築と環境都市工学は異なります.
建築では,建物自体の設計・施工や地域の開発を計画します.
環境都市工学では,橋,トンネル,道路,鉄道,電気,水道など,社会の基盤となる構造物の計画,調査,設計,施工,維持管理をします.
環境都市工学で取り扱うものは,規模が大きく,また,公共性も高いです.
なお,岐阜高専の環境都市工学科に在籍しても,建築士試験の受験資格を満たしませんので,ご注意ください.

環境問題について学べますか?

循環型社会の形成は取り組まなければならない喫緊の課題であり,本学科でも重視しています.
とはいえ,本学科の本質は「土木」です.学生からも「入学してみたら土木だった.」とよくぼやかれます.
本学科では,環境問題そのものについて学ぶというよりも,土木を礎として,社会基盤の整備において,どのように環境問題に取り組むかという観点での学びになります.