通信工学

1. 目的

離散フーリエ変換について理解する。また、AM・FM変調方式について数値解析を行い、周波数特性を理解する。

2. 理論

2.1 工学における周波数解析の重要性

電気情報をはじめとする工学において、信号の周波数解析が使われている実例を各自調べて簡単にまとめること。

ただし、参考文献に必ず1つ以上書籍または論文1、あるいは著者の本名と所属が明らかな資料を含むこと。

2.2 フーリエ級数展開

周期のある周期信号 が存在するとき、がどのような周波数の正弦波で構成されているか、

あるいはどのような周波数の波を足し合わせて表現できるかを求めたい。

このときに使われるのがフーリエ級数展開である。

がいくつかの周波数のsin波、cos波および直流成分(定数)の足し合わせで表せるとすると、は以下のように表現できる。

この式のといったフーリエ係数を求めることで、信号を正弦波の足し合わせで表現できる。

それぞれの係数は以下のように求められる。

たとえばの中にある成分の大きさを求めたい場合、

をかけて1周期ぶん積分している。

(導出については、意欲のある学生は追記すること)

2.3 複素フーリエ級数展開

上記のフーリエ級数展開について、cos成分を実部、sin成分を虚部とした複素数にすることでより単純な記述ができる。

この式のフーリエ係数は以下のように求められる。

2.4 離散フーリエ変換

複素フーリエ級数展開は連続信号に対するものであったが、コンピュータが計算できる離散信号に対する同様の操作が存在し、それを離散フーリエ変換と呼ぶ。

のサンプルで与えられた周期信号について、複素フーリエ級数展開の式を参考にするとは以下のように表せる。

この式の係数は以下のように求められる。

2.5 振幅変調

この項目は、各自調べて簡単にまとめること。

2.6 周波数変調

この項目は、各自調べて簡単にまとめること。

3. 実験方法

以下に示すシミュレーションを任意のプログラミング言語で行う。

参考として、Jupyter Notebook (Python) でプログラムの一部を記述している。

Google Colabを使用することで、簡単にプログラムを実行できる。他の言語や実行環境でもよい。

通信工学のサンプルプログラム

3.1 離散フーリエ級数

とし、振幅がpeak-to-peakで2の方形波となる配列を作成する。方形波の位相は問わない。

この配列に対して離散フーリエ変換を行い、係数を求める。係数についている数字は周波数である。

横軸を周波数、縦軸をそれぞれの係数の絶対値(係数は複素数となるため)としたグラフを作成する。

また、peak-to-peakで振幅2の三角波に対しても同様の操作を行い、結果をグラフにする。

3.2 離散フーリエ変換

3.1で作成した方形波について、離散フーリエ変換を行い、周波数からまでの全ての係数を計算する。

三角波に対しても同様の計算をする。

3.3 逆離散フーリエ変換

3.2で得られた係数を使い、正弦波を重ね合わせることでもとの波形を復元する。

また、周波数3までの係数()および周波数5までの係数()を使って復元を行い、

全ての周波数を使って復元した場合と結果を比較する。

三角波に対しても同様の操作を行う。

3.4 振幅変調

信号波として周波数のcos波を振幅変調すると、以下の式となる。

振幅変調した波形について、離散フーリエ変換を行い振幅スペクトルを図示する。

ただし、搬送波の周波数とする。

その他のパラメータは適切に変更し、変化を確認する。

3.5 周波数変調

信号波として周波数のcos波を周波数変調すると、以下の式となる。

周波数変調した波形について、離散フーリエ変換を行い振幅スペクトルを図示する。

ただし、搬送波の周波数 とする。

その他のパラメータは適切に変更し、変化を確認する。

検討課題

今回シミュレーションしたAMやFMといった変調はアナログ変調と呼ばれ、アナログの信号を高周波に乗せて届ける変調方式である。 いっぽう、現代でもっとも使われるのはディジタルデータを送るディジタル変調である。Wi-Fiなどはもちろん、携帯電話での通話でも音声というアナログ信号をディジタル信号に変換して送受信している。

そこで、花子さんは現代の技術を知るため、AIチャットボット2と以下のような問答をした。

花子: ディジタル信号では0/1の信号を送受信します。変調のもっとも簡単な方法として、0のときに搬送波の振幅を小さく、1のときに振幅を大きくするASK(振幅偏移変調)があります。あるいは、0と1で搬送波の位相を変化させるPSK(位相偏移変調)があります。現代では、こうした技術を基礎として、さらに発展的な技術が使われていると聞きました。現代で使われているディジタル変調技術について教えて下さい。

AI: 現代で使われているディジタル技術変調には、以下のようなものがあります。
1. QPSK(Quadrature Phase Shift Keying):位相と振幅を同時に変化させることで、1つの搬送波で2ビットのデータを送信することができます。PSKの一種です。
2. 16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation):4つの位相と4つの振幅を使ってデータを送信することができます。1つの搬送波で4ビットのデータを送信できます。
3. 64QAM(64 Quadrature Amplitude Modulation):8つの位相と8つの振幅を使ってデータを送信することができます。1つの搬送波で6ビットのデータを送信できます。(以下省略)

花子: 16QAMや64QAMを利用すると、一度により多くのデータが送れることがわかりました。では、単純なASKやPSKと比べたときにこういった変調方式に欠点はありますか?また、それを軽減する技術も教えて下さい。

AI: 16QAMや64QAMなどの高度な変調方式は、より多くのビットを送信できる反面、ノイズや干渉に弱く、ビットエラー率(BER)が高くなるという欠点があります。これは、高度な変調方式がデータをより多くの状態に割り当てるため、少しの信号の歪みでも誤ったデータを復号化する可能性が高くなるためです。

こうした欠点を軽減するために、現代のデジタル通信システムでは、エラー訂正符号(FEC)などの誤り訂正技術が使用されます。FECは、送信されるデータに冗長性を追加することで、ビット誤りを検出し訂正することができます。また、信号処理技術を使用して、雑音や干渉を低減することもできます。これらの技術を組み合わせることで、高速かつ信頼性の高いデジタル通信が可能になります。

下線部 変調方式がデータをより多くの状態に割り当てるため、少しの信号の歪みでも誤ったデータを復号化する可能性が高くなる について、16QAMを例にして説明する図を1枚作成せよ。レポートには上記の長い問題文は載せず、図だけ載せればよい。

なお、図は自分で作成すること。

振幅変調のデモ

m : 0.5

fs : 2

周波数変調のデモ

beta : 0.5

fs : 2


  1. 書籍や論文の著者にはときどき偽名やペンネームが使われることがある(Bitcoin「サトシ・ナカモト」の例)が、参考文献にカウントしてよい。 

  2. AIチャットボットの返答にはChatGPT (GPT-3.5) を使用しています。