オシロスコープの使い方II 補足
実験中に行うこと
- 気温と湿度を記録する
- 使用器具を記録する
教員チェックポイント
- プローブの調整が終わったとき
- 回路を接続し、電源を入れる前
- 位相差が出て、トレースできる状態になったとき
- とのトレースを行い、の波高値を求めた後
- リサージュ図形が出て、トレースできる状態になったとき
- リサージュ図形のトレースを行い、位相関係を求めて比較した後
- の波形が出て、トレースできる状態になったとき
- トレースを行い、位相関係と波高値を求めてベクトル図を描いた後
実験中に描くベクトル図は、手書きで簡易的なものを描けば十分。
オシロスコープの操作方法
今回の実験で使用するオシロスコープの例を図 1 に示す。
1. オシロスコープの調整
(1) プローブの倍率(オレンジのつまみ)を x10 に設定し、プローブの先端をオシロスコープの CAL 端子④に接続する。
(2) オシロスコープの電源②を入れ、CH1 の「AC-GND-DC」スイッチ⑬を GND に合わせ、CH1 を表示させる。
(3) 真ん中に直線が表示されることを確認する。
※全く線が表示されない時:
- MODE㉕を AUTO にする
- SOURCE㉖を CH1 にする
- VERT MODE㉒を CH1 にする
- FOCUS⑥を真ん中くらいにする
- INTEN⑤を右に振り切って最大にする
- x10 MAG㉝が OFF(出っ張っている)を確認する
※線が上の方や下の方にある時
- CH1 の POSITION⑩を調整してグランドを調整し、真ん中にする
※線が傾いている時
- TRACE ROTATION⑦を専用のドライバーで調整する
※線がぼやけている時
- FOCUS⑥を調整してくっきり見えるようにする
(4) 「AC-GND-DC」スイッチ⑬を AC に合わせると、方形波が表示される。画面いっぱいになるように、SWEEP TIME/DIV㉛と CH1 の VOLTS/DIV⑪を調整する。
※全く線が表示されない時
- SWEEP TIME/DIV㉛と CH1 の VOLTS/DIV⑪を調整する
VOLTS/DIV⑪には2つのつまみがついているが、大きいもののみ操作する。
※波形が流れていく時
- TRIGER LEVEL㉘を調整する
(5) 方形波がゆがんでいる場合、専用のドライバーでプローブの容量を調整する。
(6) 同様の調整を CH2 に対しても行う。CH2 の波形を表示するためには、SOURCE㉖ を CH2 とし、VERT MODE㉒も CH2 とする。
2. 波形の観測
図 2 のような回路を観測するときの手順を説明する。
(1) 回路を接続する。
(2) さきほどの調整を行った状態で、CH1 の電源電圧 が観測できている。この波形を見ながら、発振器の出力を 1kHz, 5V に調整する。
SWEEP TIME/DIV㉛は、横 1 マスあたりの時間を示す。今回は横 10 マスを使って1 周期の波形を観測したい。
VOLTS/DIV⑪は、縦 1 マスあたりの電圧を示す。ただし、プローブの倍率を x10 としているため、実際の電圧は表示の 10 倍となる。
(3) CH1 と CH2 を同時に表示する。SOURCE㉖を CH1 とし、VERT MODE㉒を ALT または CHOP とする。
(4) CH2 の VOLTS/DIV⑰を、CH1 の VOLTS/DIV の値に合わせる。
(5) グランドの位置が時間によってずれる場合があるため、適宜 CH1 および CH2 の「AC-GND-DC スイッチ」⑬⑲を GND にして、POSITION⑩⑯を調整して真ん中に合わせる。また、波形の始まりが左端になるように、TRIGER LEVEL㉘やHORIZONTAL POSITION㉚を調整する。
※全く線が表示されない時
- 発振器の出力を 1kHz, 5V 程度に調整する。細かい調整はオシロスコープを見て行う
※波形が流れていく時
- TRIGER LEVEL㉘を調整する
3. 波形のトレース
トレースにはトレーシングペーパーを用いる。
記録したトレースは、スキャンしてレポートに貼り付けること。トレースを写真で撮ったものは認めない(ゆがむ可能性があるため)。スマホのカメラにあるスキャン機能も同様。
(1) トレーシングペーパーを適切な大きさに切る。
(2) オシロスコープを立てて、画面にカバーが付いている場合は外す。
(3) トレーシングペーパーを画面に当てて、横の中心線を描く。
(4) 波形を点線でトレースする。
※点線にするのは、トレースの最中にずれないようにするため。
(5) 点線をなぞってトレースする。
(6) 使用した SWEEP TIME/DIV㉛と VOLTS/DIV⑪のレンジを記載する。
トレースの例を図 3 に示す。無地のトレーシングペーパーでトレースする際は、裏に方眼紙を引いてスキャンする。方眼紙のトレーシングペーパーの場合、裏に白い紙を引いてスキャンする。
4. リサージュ図形
(1) オシロスコープの X-Y㉔を押す。CH1 を Y 軸、CH2 を X 軸とした波形が出る。波形の大きさを調整する。
(2) CH2 の「AC-GND-DC スイッチ」⑲を GND にして、HORIZONTAL POSITION㉚ を調整して横方向のグランドを合わせる。
(3) CH2 の「AC-GND-DC スイッチ」⑲を元に戻し、CH1 の「AC-GND-DC スイッチ」⑬を GND にして、CH1 の POSITION⑩を調整して縦方向のグランドを合わせる。
(4) CH1 の「AC-GND-DC スイッチ」⑬を元に戻し、波形を観測する。波形をトレースする場合は、横の線に加えて縦の線を描く。
5.CH1 から CH2 を減算する
(1) X-Y㉔を OFF にし、2つの波形(2現象)が表示されている状態に戻す。
(2) CH2 INVERT㉓を押し、CH2 の波形を反転する。
(3) CH2 のグランドを真ん中に合わせる。
(4) VERT MODE㉒を ADD にする。これにより、CH1 と反転した CH2 を加算した波形が表示される。