ダイオードの静特性I 講義(実験の進め方)
質問とメモ
実験では、まだ授業で習っていない現象を確認したり、扱い方の複雑な機器を使ったりする。少しでも不明点がある場合は、すぐに教職員に質問すること。 疑問をその場で解決しておくことで、実験が早く進み、レポートが書きやすくなり、高評価が期待できる。また、安全に実験を行うためにも質問は必須である。
実験科目では、教職員が手取り足取り進捗をフォローせず、学生が自主的に実験を進める必要がある。聞かないと何も進まないことも多々あるため、 はじめは質問の質など気にせず積極的に教職員を呼び止めて疑問点を明らかにすべきである。
実験中に気づいたことや質問して理解できたことなどは、かならずメモに残すこと。家に帰ってから、実験で行ったことを理解し、レポートを 書くために必須である。
実験の流れ
前回のガイダンスをおさらいしながら説明する。
集合場所
実験開始時の集合場所は、実験内容によって異なる。都度指示するので、LMSやTeamsを確認すること。
ここでは、2F実験室で行う通常の実機実験について説明する。
器具の準備
実験器具は、各自で所定の場所から持ってくる。一部の器具は教員が取り出して前方に置く。
3限開始前に準備をはじめても良いが、分からないものは必ず教員に確認してから持ち出すこと。
器具や天気の記録
実験に使用した器具の番号や、天気・気温・湿度を記録する。
一部の器具には、「25-い-399」のように番号が振られている。あなたが行った実験を他の人が再現できるよう、番号を記録してレポートに書く。
番号がない場合、メーカー名や型番を記録しておく。
回路の組み立て
測定器のゼロ調整を行い、実験書に沿って回路を組み立てる。必要な部分が外れないように配線するとともに、不必要な部分が接触しないようにする。特にワニ口クリップは実験中に外れないようにある程度ねじで留めておく。ただし強い力で留めるとクリップが壊れるため注意する。
また、実験では計器の値を読んだり器具のダイヤルを変更するため、そういった操作が行いやすいように器具を配置する。
組み立ての流れは以下のとおりである。
- 器具の配置を決める
- ゼロ調整
- 器具の配線
机の位置によってやや机が傾いているため、位置を決めてから計器の針がゼロを指すよう調整する。
回路チェック
配線が完成したら、電源を入れる前に教職員のチェックを受ける。
計測
電圧や電流が最小の状態で装置の電源を入れ、計測を行う。計器を読む学生、結果を記録する学生など、適切に役割分担するのが望ましい。
かならずグラフを描きながら実験を行うこと。
結果の確認
結果が正しいことが明らかな場合を除いて、グラフを書くたびに教職員に確認を受けるのが望ましい。ここで不適切な値を発見した場合、その計測をやり直す。
口頭試問
全ての計測が終了し結果をまとめたあと、教職員が口頭試問として基礎的な理論や実験方法、結果から考察できることなどを各学生に質問する。学生を指名して回答を求めることもあるので、班の全員が実験について理解しておくこと。
掃除
口頭試問の終了が最後から2番めの班は実験室の掃除をしてから帰る。
計器の選び方と使い方
電圧計、電流計には、直流用/交流用の区別がある。記号を見て、適切な計器を使うこと。(1年生の実験書「電圧計の使い方」を参照)
縦置きか横置きかについても指定があるため確認すること。黒い電圧計・電流計は基本的に横置きである。
機器を使う前は必ずゼロ調整を行う。マイナスドライバーで針がゼロを指すよう調整する。
実験中、針がマイナスに振れたり、振り切ったりした場合はすぐに回路の電源を切って原因を探すこと。故障のおそれがある。
ブレッドボードの使い方
ブレッドボードは内部で接続されている場所に注意する。(1年生の実験書「ブレッドボードと論理回路」を参照)
テスターの使い方
適切な場所にケーブルを差し込んで計測する。(1年生の実験書「電圧計の使い方」を参照)
使い終わったら必ず電源を切ること。
直流安定化電源の使い方
電圧源として使う場合、電流(CURRENT)つまみを最大にしてから電圧つまみを調整する。(1年生の実験書「電流計の使い方」を参照)
機種によっては、電圧のつまみが2つある場合がある。それぞれ、電圧の粗い調整(COARSE)と細かい調整(FINE)ができる。
安定化電源の出力端子を見ると、GND端子と-端子が金属プレートや銅線で接続されている。これは外さず固定したまま使うこと。
Note
GND端子は回路の基準電位、すなわち0[V]を示す。GNDと-端子が接続されているということは、-端子を0[V]とする、ということである。逆にGNDと+端子を接続すれば、+端子が0[V]と考えられるため、-端子からマイナスの電圧が出力されているといえる。
ダイオードの向き
実験で使う黒いダイオードには片側に白い線が入っており、線がある側がカソード(K)である。
実験で使うツェナーダイオードには片側に黒い線が入っており、線がある側がカソード(K)である。
素子にはツェナー電圧も書いてあるため、確認すること。
データの取り方
実験によっては非線形な(直線でない)グラフとなることがある。その場合、x軸(横軸)に対して等間隔にデータを取ると、点が詰まっているところと大きく 間隔があくところができてしまい、不適切である。
グラフ上で等間隔になるようデータを取ることで、傾向がつかみやすくなる。また、値が増え始めた部分や、急激に変化する部分は細かくデータを取る必要がある。
x軸やy軸(縦軸)の各データをキリの良い数値にする必要はまったくないため、グラフを見ながら次に取るデータ点を考えるべきである。